大正・昭和の秘本シリーズ 「愛欲の狂炎」
智代は、私よりひと回り以上も年上で、ある工場主の二号をしていた。
パトロンが来るのは月に一、二度で、熟れた肉体をもてあましていた智代は、からかい半分に私を誘惑したようだ。
しかし、若かった私は、みだらな感じのする妖艶な年上の女性に言い寄られたのが殊の外うれしくて、のぼせあがってしまい、昼夜の区別なく彼女の部屋を訪れては肉交に溺れていた。
その間もパトロンはやって来た。三度目にその男の姿を見た時、私は嫉妬の情を抑えきれず、ためらいつつも窓辺に忍び寄って、とうとう中を覗いてしまった。
室内はうす暗かったが、二人の動きは割合はっきり見ることができた。
智代が男の股間を揉んでいるらしく、彼女の手が男の下腹で上下に動いていた。
十分も経った頃、いきなり男が起きあがって、せわしなく挿入しようとした。
その瞬間、私は、頭にカッと血が昇った。ところが、男の様子がおかしい。しばらくすると、「だめねェ…」と智代のふてくされたような声がして、男はゴロンと仰向けになってしまった。その様に、嫉妬に身を焼いていた自分が馬鹿らしくなった。ただ、この日を境に、もっともっと智代をいじめて、私の逞しいオトコを忘れられなくしようと誓った。
沖渉二先生礼賛沖渉二先生礼賛沖渉二先生礼賛